第4章 その5

梨花「入江、聞いていましたですか?」
入江「えぇ・・・・レナさんは・・・」
梨花「・・・・もう手遅れなのかもしれないのです」
入江「なんて事だ・・私があの時、レナさんを保護していればこんな事にはならなかったのかもしれないのに・・・!!」
梨花「入江、もういいのです。レナはもう・・・」
入江「もしレナさんが一線を越えそうになった場合は・・・・」
梨花「・・・ボクがやりますです。ボクに任せてほしいのですよ」
入江「ですが梨花さん、あなたとレナさんでは体格差はおろか、」
梨花「それでも! それでもボクに・・・・・これはレナを救えなかったボクの責任なのです・・・」
入江「梨花さん・・・・」
梨花「それに、レナの保護には山狗を使うわけにはいかないのではありませんか?」
入江「・・・・そうですね」
梨花「レナはボクに任せてくださいなのです。きっとボクに出来る事はありますですから」
入江「こんなにも自分の無力さを呪いたい気持ちは初めてですよ・・・!!」
梨花「・・・・入江、話があるのではありませんか?」
入江「え、えぇ・・・・実は・・・・」
梨花「富竹と鷹野が、ですか」
入江「はい。恐らく富竹さんは雛見沢症候群の末期症状、自分の首をかきむしり自殺しました。鷹野さんは山中で焼死体となり発見されました・・・・」
梨花「・・・・・・・・」
入江「・・・おかしいんですよ! 富竹さんは予防接種を受けている筈なんです!! なのに彼の死因は・・・!!」
梨花「入江、これは起きてしまった事実なのです」
入江「はい・・・そして鷹野さんの怪死・・・・やはり彼等は私のせいで・・・・」
梨花「それでは、こうして今、入江が生きているのは何故でしょうか?」
入江「・・・・まだ私は気付かれていないのかもしれません」
梨花「・・・・そうとしか考えられないのですよ」
入江「恐らく彼等は私が存在に気付いている事実をまだ知らない筈・・・・それならまだ打つ手はあります!」
梨花「具体的には何があるのですか?」
入江「そ、それは・・・・」
梨花「入江、富竹と鷹野を殺した犯人はもうわかっているのです。でも、ボク達に出来る事は何も・・・・」
入江「すみません・・・・私が無力なばかりに・・・・・」
梨花「それはボクだって同じなのです。何が出来るのか、何をすればいいのかボクにはわからない・・・・それがどんなに罪深い事なのか・・・・・・」
入江「梨花さん・・・・・私は・・・」
梨花「入江、無謀な真似はやめてほしあのです」
入江「ですが・・・!!」
梨花「入江まで死んでしまったら、誰が沙都子を救うのですか? 誰が?」
入江「・・・・・・・・」
梨花「・・・・もう時間が無い・・・私にも・・入江にも・・・・・」
入江「り、梨花さん? それはどういった意味で・・・?」
梨花「絶望、なのですよ」
入江「・・・・・・・・」
梨花「入江、ボク達に残された時間は少ないと考えてほしいのです。だから、沙都子だけでも・・・」
入江「・・・わかってます。梨花さんの言っている意味はよくわかりませんが、沙都子ちゃんは私が絶対に救ってみせますよ。何があろうと・・・・」


魅音「・・・・・レナ・・・詩音・・・」
魅音「詩音は昨日家に帰って来なかったみたいだけど・・・・」
魅音「・・・・やっぱり来ないよね」
魅音「はぁ・・・・私はどうすれば・・・」
魅音「もう行こう・・・・」
レナ「魅ぃちゃ〜〜ん待ってよ〜〜〜」
魅音「れ、レナ・・・・」
レナ「はぁっ・・・はぁ・・ごめんね、遅くなって」
魅音「い、いいよ。そんなに待ってないから・・・」
レナ「ねぇ、魅ぃちゃん」
魅音「な、なに?」
レナ「・・・・昨日はごめんね」
魅音「レナ・・・」
レナ「一晩考えてみてわかったの・・・・レナが間違ってた。魅ぃちゃんを疑うなんて・・・・どうかしてた・・」
魅音「わかってくれたの・・・?」
レナ「うん。詩ぃちゃんに怒られちゃった・・・・レナさんがお姉を疑う筈ない! お姉の親友である竜宮レナが、親友の園崎魅音を疑う筈ない! って」
魅音「詩音・・・・えへへ・・あのおバカは・・・」
レナ「だから・・・・ごめんね」
魅音「もういいの。今、レナは私を信じてくれてる。それだけで私は満足だよ。これ以上は何も望まない」
レナ「魅ぃちゃん・・・・ありがとう・・・・・」
魅音「もういいよ! それより詩音はどうしてるの?」
レナ「・・・・詩ぃちゃん?」
魅音「れ、レナ? どうしたの・・・?」
レナ「詩ぃちゃんね、昨日レナの家に泊まったの」
魅音「へぇ、そうなんだ」
レナ「うん、詩ぃちゃんにお礼がしたかったの。だからレナスペシャルをご馳走したんだよ。だよ」
魅音「あははは、そりゃあ良かったねぇ! きっと詩音はお腹を膨らませてたに違いないよ!」
レナ「詩ぃちゃん、美味しそうに食べてくれてたよ。えへへ、嬉しかったんだよ」
魅音「詩音はお嬢様だから舌が肥えてるからね。それを満足させるなんて、さっすがレナだね!」
レナ「あはははっ、ありがとう、魅ぃちゃん」
魅音「それで、どうして詩音は一緒じゃないの?」
レナ「・・・・」
レナ「朝早くにお迎えが来て家に帰っちゃったの」
魅音「そっか・・・私が電話したから、お母さん心配したのかな・・・」
レナ「着替えを取りに行きたいから電話を貸してって」
魅音「詩音は潔癖だねぇ・・・二日くらい同じ服で過ごしても気にならないと思うけどなぁ」
レナ「み、魅ぃちゃん・・・・それはレナも嫌だよ・・・」
魅音「あ、あははは・・・やっぱり?」
レナ「・・・・ありがとう、魅ぃちゃん」
魅音「えっ?」
レナ「うふふ、なんでもないよー」


梨花「おはようなのです」
レナ「梨花ちゃ〜ん、おっはよー」
魅音「おはよ、梨花ちゃん」
梨花「みぃ、レナの機嫌が治ったみたいなのです」
レナ「あ、あははっ・・・昨日は驚かせてごめんね」
梨花「・・・・そうなのです。とても驚いたのですよ。びっくり仰天。わーわー、なのです。にぱーっ」
レナ「は・・・はぅ〜〜今日も梨花ちゃんかぁいぃよ〜〜」
魅音「あー、はいはい。後でお持ち帰りしていいから今は爽やかな朝を満喫させてねー」
レナ「り、りりりり梨花ちゃん?! み、みみみみ魅ぃちゃんからお持ち帰りの許可がでたんだよ!! だよ!!」
梨花「みぃ・・・きっとボクは、もうレナ無しでは生きていけない体にされてしまうのです・・・・」

PREV HOME NEXT