7章 その1

大石「はぁ・・・・・・・」
熊谷「どうしたんすか大石さん? 溜め息なんかついちゃって」
大石「・・・・熊ちゃん、あなた・・・信じます?」
熊谷「はい? 信じるって・・・何をっすか?」
大石「・・・・・オヤシロ様の祟り・・・・ですよ・・・」
熊谷「お、大石さん? 自分達は刑事っす。祟りで事件を終わらせるのは納得いかないっすよ」
大石「・・・・えぇ・・・その通りです・・・・・」
熊谷「大石さん? ・・・・なんだか今日の大石さんは少し変っすよ? 大丈夫っすか?」
大石さん「いえ、大丈夫です。ちょっと・・・・気になる事がありまして」
熊谷「そうっすか。祟りなんて、そんなもの・・・・」


大石「考えてみれば・・・・今年はおかしいんですよ。毎年起こるオヤシロ様の祟りとは・・・・まったく別の意思を感じる程にね。・・・・ふぅ」
熊谷「今年の事件は、あからさまになり過ぎている部分が多過ぎますからね。それに人数だって・・・」
大石「えぇ、おかしいんです今年は。オヤシロ様の祟り・・・そんな言葉だけでは説明出来ない何かが。雛見沢には存在しているんです。・・・一体何なんでしょうねぇ」
熊谷「今回の事件、もし全てに一貫性があるとしたら・・・・」
大石「間違いなく、犯人は雛見沢に何らかの因縁、とでも言いましょうかねぇ・・・・何かしら繋がりがあると思います。そして園崎家、これね。私はシロだと思うんですよ」
熊谷「お、大石さんが園崎家を援護する日が来るなんて・・・あ、あははは。意外っす」
大石「あくまで、今年の事件はという意味です。園崎に対する考えはなぁんにも改めちゃあいませんよぅ? んっふっふっふ」
熊谷「そ、そうっすか。で、その理由とは?」
大石「理由ですかぁ? それは熊ちゃん自身も言っていたんですがねぇ。忘れちゃいました?」
熊谷「自分がっすか・・・?」
大石「はい。今年の事件はあからさま過ぎる、ってね」
熊谷「・・・・・あっ」
大石「んっふっふっふ。お気付きの通りだと思いますよぅ」
熊谷「・・・・園崎が裏で手を回しているのならもっと上手く工作出来たんじゃないですか・・・?」
大石「えぇ、その通りです」


熊谷「前原圭一の失踪、富竹ジロウと鷹野三四の怪死、入江京介の自殺・・・・・そして・・・」
大石「古手梨花さん。彼女はどうして、あんな無惨な死を遂げたのか・・・・こればっかりは・・・ふぅむ・・・」
熊谷「腹を裂かれて内臓を引きずり出すなんて・・・・正気の沙汰とは思えないっす・・・!」
大石「しかも、引きずり出されたのは死後ではない」
熊谷「・・・・・犯人の意図がわからないっす・・・そんな・・・・どうして古手梨花をあんな目にあわせる必要があったのか・・・」
大石「なんにも手掛かりがないんです。愉快犯の犯行と最初は疑いましたが、その形跡は見られなかった」
熊谷「犯人は最初から・・・古手梨花を殺すつもりだった」
大石「間違いないでしょうね。計画的な犯行だったと私は睨んでます、が・・・・今はそれだけです」
熊谷「犯人を特定出来る様な物は、現場には一切ありませんでしたからね」
大石「一体誰なんでしょうねぇ・・・・古手梨花さんは誰かに恨みを買う様な人ではなかった。ましてや村の人間が古手梨花を殺す、なぁんて・・・・誰が考えても、絶対にありえない話ですよ」
熊谷「古手梨花の怪死については、これからの捜査に期待するしかありませんね・・・・」
大石「はい。根気強くやっていきましょうかねぇ」


熊谷「次に、前原圭一の失踪についてですが・・・・」
大石「こちらは完全に手詰まりです。彼は一体、何処で何をやっているのんでしょうねぇ・・・・・・」
熊谷「富竹ジロウ、鷹野三四に関しても同じ事が言えるっすね」
大石「えぇ、二人共謎の怪死を遂げている。富竹さんに至っては薬物反応すら出ていない・・・・・そして鷹野三四さん、彼女の死亡時刻にも不審な点が見られます。まぁこっちは向こうの鑑識さんの手違いじゃないかと思ってるんですがねぇ」
熊谷「・・・・今年は・・・変っすよ・・・・・」
大石「一体、誰が何の目的を持ってやっているのか・・・・それがもし、オヤシロ様の祟りなら・・・・」
熊谷「大石さん? オヤシロ様なんてこの事件には・・・・」
大石「全てはオヤシロ様の祟りだった。・・・なぁんてこの言葉が実は一番しっくりきちゃうんですよぅ」
熊谷「そうだとしたら、古手梨花の死はどうなるんす?」
大石「オヤシロ様の生まれ変わり、神社の巫女さんとして村の年寄り連中から拝められていた古手梨花さんが村の人間の手によって汚された・・・・・祟りとしては、間違っちゃいないと思いますよぅ?」
熊谷「・・・・強引過ぎっすよ」
大石「なっはっはっは! ちょっと無理がありましたねぇ。いやいや、すみません。祟りで事件が済むなら警察はいらないってものでしねぇ。んっふっふっふ」
熊谷「大石さん、何かあったんですか・・・?」
大石「・・・・・言われちゃったんですよ」

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