8章 その7

レナ「それで・・・・話とは昨日の続きですか?」
大石「うーん・・・・その前に一つだけ。竜宮さん、園崎本家には秘密の部屋があるって・・・・・・・・・あなたは知ってますよねぇ?」
レナ「・・・・・・・・・」
大石「元々こんな朝からここへ来るつもりじゃなかったんですが・・・・見つかったらしいんですよ」
レナ「・・・・・?」
大石「園崎お魎の死体、がね」
レナ「ッッ!?!?!?」
大石「園崎家秘密の部屋・・・・中はまるで地下室に作った秘密基地みたいになってましてね。物騒な物がたくさん出て来ちゃいましたよぅ。なっはっはっは」
レナ「お、お婆ちゃんが・・・・死んだ・・・・?!」
大石「はい。まだ検死結果は出てないので詳しい事はわからないんですが・・・・お魎は地下室の崖から突き落とされたみたいなんです」
レナ「そ、そんな・・・・お婆ちゃんが・・・どうして・・・」
大石「牢屋がいくつもありましてね。その中の一つに、更に地下へ繋がる大穴を発見しました。お魎はその穴の下に倒れていました。ボロボロの姿でね」
レナ「お婆ちゃん・・・・」
大石「結構な高さがありましてね。落ちて命が助かるなんて、余程の強運の持ち主でないとありえません」
レナ「だ、誰がお婆ちゃんを?!」
大石「まだわかりません。これから捜査を始めようと思っていたんですが・・・・はぁ」
レナ「大石さん?」
大石「こんな大事件になっているのにも関わらず、警察に圧力が掛かってるんですよ」
レナ「圧力・・・・ですか?」
大石「どうやら園崎家はこの問題をまだ表沙汰にしたくないみたいです。そりゃあ、時期当主様とその双子の妹が亡くなってしまいましたからねぇ。しかも家にいる筈の園崎お魎は行方不明。これを公にしたら、園崎家親族は大混乱になりますでしょうし」
レナ「えっ? それじゃあ・・・・」
大石「まぁ雛見沢で起こった事件ですから、秘匿捜査なのは相変わらずです。ですが今回の事件に掛けられた圧力は今までの物とは比べ物にならない」
レナ「・・・・・・・・・」
大石「見て下さい。パトカーなんて、一度も止まってないでしょう?」
レナ「・・・・? ・・・はい」
大石「これを他の御三家、いや・・・・村の住民が知れば大変な騒ぎになるでしょうね・・・・」
レナ「でも・・・いつかはわかる事じゃないですか・・・・」
大石「そう簡単に公には出来ませんよ。色々とあるんです。色々とね」
レナ「・・・・梨花ちゃんは? 皆はまだ梨花ちゃんの事を知らないみたいでした。これは一体・・・・」
大石「そちらへの手回しはもう終えてます。古手さんの死亡を知っている人間は、遺体を発見し警察に通報した数名。口止めはしてあります。協力者もいましてね。まぁ口止めしたって、雛見沢じゃ無駄でしょうね。いつかボロが出る。私はそう思ってます」
レナ「・・・・・・・・・」
大石「現場のお掃除も直ぐに終わらせました。知っている人間は限られているでしょうね」
レナ「き、協力者って誰なんですか?! 梨花ちゃんは殺されたのに・・・・それを秘密にするなんて・・・!」
大石「・・・大人にはね、色々と都合があるんです。例え犬猿の仲であろうとも、色々とあるんです」
レナ「・・・!!」
大石「竜宮さんはまだわからないと思いますがね・・・・人の上に立つのって大変なんですよ。彼らは憎まれ役を買って出たんです。いつか問題が公になった時、自分達が責任を取るようにね」
レナ「・・・・酷いお話ですね」
大石「なっはっはっは! 大人ってのはただ汚いだけじゃないんですよぅ。そこら辺は察して下さいねぇ? んっふっふっふっ〜」
レナ「・・・・この話はもう止め下さい。気分が悪くなるんです・・・お願いします」
大石「えぇ、わかりました。次は・・・・前原さんでしたね」
レナ「圭一くんは何処にいるんですか?」
大石「こちらはさっぱりです。足取りを掴めたのは夕方、あなた方と遊ばれていたまで。それ以降はまったくわかりません。参りましたよ」
レナ「・・・・そうですか」
大石「足取りはわかりませんが、気になる噂を耳にしました」
レナ「な、なんですか?! 教えて下さい!!」
大石「前原さんを見たって人がいるんですよ」
レナ「・・・・え・・・っ・・・?」
大石「信憑性は薄いんですが・・・たしかに見たと、その人は断言しています」
レナ「・・・・どこ・・・?」
大石「どうもね、駅で見たらしいんです。それもここから遠く離れた遠方に向かう車両のね」
レナ「・・・・・・・・・・」
大石「正直に申し上げれば、私は信じられない。大体、学生の身分である前原さんにそんなお金は用意出来るんですかねぇ・・・・それ以前に彼が雛見沢を離れる理由がわからない」
レナ「・・・・・・・・・」
大石「数名から証言が取れました。ですが・・・・」
レナ「・・・・レナはそんなの信じません」
大石「私も同じ意見です。警察内部じゃ家出ではないのかと言われてますが、私は認めない。前原さんがそんな真似をする理由が、意図がわからない」
レナ「・・・そうですよ・・・・圭一くんが・・・・圭一くんが雛見沢を捨てるなんて・・・・そんな事をしたら・・・・オヤシロ様が許さない・・・!!」
大石「竜宮さん、去年も同じ様な事がありましたよね」
レナ「・・・・・悟史くん」
大石「彼もまた、前原さんと同じく失踪している。ですが北条悟史さんは家出だと断定出来ませんが、それを臭わす要因がいくつかありました」
レナ「・・・・・・・・・」
大石「ですが今回は違う。前原さんは北条悟史さんはまったく関係の無い事だと・・・・最初はそう思いました」
レナ「最初は・・・?」
大石「えぇ、まったく別個な話だと思っていたんですが・・・・」
レナ「・・・? 何が言いたいんですか?」
大石「出来過ぎだと思いませんか?」
レナ「・・・・・・・・・」
大石「私には偶然とは思えないんですよ。前原さんも北条さんも、実は何らかの事件に巻き込まれてしまったんじゃないか、ってね」
レナ「・・・大石さんの考えは強引過ぎやしませんか?」
大石「なっはっはっは。自分でもわかっているつもりです。ですがね竜宮さん、出来過ぎてるんですよ。全てが」
レナ「・・・・・・・・・」
大石「私は前原さんと北条悟史さんの失踪は何か関係しているのではないかと睨んでいます。もし、彼らが自分の意思ではなく、何者かの意思によって消されてしまったのだとしたら・・・・・・」
レナ「け、圭一くんは消えてなんかいません!!」
大石「り、竜宮さん?」
レナ「圭一くんは消えてなんかいません! 圭一くんは雛見沢にいるんです!! 消えたりなんて・・・!!」
大石「竜宮さん、落ち着いて下さい。そうだと言える、何か証拠みたいなものはあるんですか?」
レナ「・・・・・・・・・」
大石「竜宮さんの信じようとするお気持ちはわかります! ですが、」
レナ「大石さんにはまだお話してませんでしたね」
大石「・・・・はい? 何です?」
レナ「圭一くんは、雛見沢にいるんです。そして、沙都子ちゃんに会いに来てたそうなんです」
大石「な、なんですって?! それは本当ですか?!?!」
レナ「はい、本当ですよ。沙都子ちゃん本人から聞きました」
大石「それは・・・・妄想や虚言でなく・・・?」
レナ「違います。それに・・・・レナにだってわかるんですよ?」
大石「・・・・・・・・・・・」
レナ「圭一くんは雛見沢にいるんです。レナにはそれがわかるの」
大石「り、竜宮さん・・・・それは何か、」
レナ「だからいるんですよ!! 圭一君はいるんです!!!!」
大石「・・・・竜宮さん・・・・・?」
レナ「どうして・・・・圭一くん・・・どうしてレナには会いに来てくれないの・・・・圭一くん・・・・・沙都子ちゃんにばっかり・・・・けぇいちくん・・・・・・・」
大石「い、一体、どうしてしまったんですか竜宮さん・・・!!」
レナ「・・ずるいよ・・・沙都子ちゃんばっかり・・・!!ずるい・・・ずるい・・ずるい・・ずるい・・・!!!!」
レナ「・・ずるい・・・!! ずるいずるい・・・!!!!どうしてレナには会いに来てくれないの・・・・!!」
大石「落ち着いて下さい竜宮さん! あなた、さっきから何を言っているんですか?!?!」
レナ「・・・・だから言ってるじゃないですか」
大石「な、何をです・・・」
レナ「圭一くんばいる゙んだって」
大石「・・・竜宮さん・・・・」
レナ「お話はもう終わりですよね? レナ帰りますね」
大石「え、えぇ・・・・」
レナ「あははっ! 早く圭一くんを捜さなきゃね〜」
大石「ま、待って下さい! 前原さんは警察が、」
レナ「レナの邪魔、しないで下さいね?」
大石「竜宮さん・・・・あなたは・・・一体・・・・」
レナ「じゃあ、レナはもう行きますね〜」

PREV HOME NEXT