第1章 その2

沙都子「・・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・」
詩音「沙都子、私は一度家に帰ります。日が落ちたらここに来てください」
沙都子「・・・わかりましたわ」

魅音「詩音ー」
詩音「あらお姉、どうしました?」
魅音「圭ちゃん見なかった?」
詩音「・・・さぁ?私は見てませんよ」
魅音「ちぇっ、逃げられたか」
詩音「圭ちゃんに何か用があったんですか?」
魅音「あははっ、別に大した用じゃないよ」

レナ「魅ぃちゃ〜ん」
魅音「レナ!圭ちゃん見なかった?」
レナ「圭一くんね、先に帰っちゃったみたい」
魅音「はぁ!?勝手な男だねー」
詩音(・・・・あっ)
レナ「さっきまでね、沙都子ちゃんのトラップに引っ掛かって気を失ってたの」
魅音「なぁにやってんだか」
レナ「これからお見舞いに行こうと思ってるんだけど、どうかな?」
魅音「そうだね、私も行くよ。部長として部員の面倒は見ないといけないしね」
レナ「詩ぃちゃんはどうする?」
詩音「私は遠慮しておきます。私が行くとお姉がうるさいでしょうし」
魅音「あんたが圭ちゃんに余計な事するからでしょ!」
レナ「あははっ、じゃあ魅ぃちゃん、行こっか」
詩音「圭ちゃんは弱ってますからお姉が暴走しない様に見張っててくださいね」
魅音「するわけないでしょ!」

梨花「沙都子・・・どうしましたですか?」
沙都子「えっ?な、なんですの梨花」
梨花「なんだか元気が無いのですよ」
沙都子「そ、そんな事ありませんわ!私は・・」
梨花「・・・沙都子はボクの友達なのです」
沙都子「・・・梨花?」
梨花「でも・・・・」
梨花「・・・圭一もボクの友達なのです」
沙都子「り、梨花ぁ!」

魅音「でも変だよね、圭ちゃんが何も言わずに先に帰っちゃうなんてさ」
レナ「・・・レナもそう思うな」
魅音「頭を強く打って記憶喪失になってたりして?!」
レナ「あははっ、なんだか魅ぃちゃん嬉しそうだね」
魅音「そ、そう?あ、あはははっ!」
レナ「・・・でも、なんでだろ」
魅音「大丈夫だよ、きっと圭ちゃんなら大丈夫」
レナ「・・・うん」
レナ「でも魅ぃちゃんは聞かなかったの?」
魅音「ん?なにを?」
レナ「圭一くんが先に帰ったって、だよ。レナが来る前から二人で話してたよね」
魅音「・・・えっ?」
レナ「・・・?どうしたの?」
魅音「いや・・・詩音は知らないって言ってたから・・・・」
レナ「・・・魅ぃちゃん、詳しく聞かせてくれないかな?かな?」

梨花「行ってきますですよ、沙都子」
沙都子「・・・一緒に行かなくて、ごめんなさいですわ・・」
梨花「買い物くらい、ちゃんと一人で行けますのです」
沙都子「りか・・・」
梨花「一晩眠れば、きっと大丈夫なのです。明日には全て忘れているのですよ」
沙都子「・・・私は」
梨花「ぐーぐー、なのですよ」
沙都子「・・・ごめんなさい・・」
梨花「行ってきますです」


詩音「あれ?梨花ちゃま?」
梨花「こんばんわ、なのですよ」
詩音「どうして・・・こんな時間に?」
梨花「それはボクも聞きたいのです」
詩音(こいつ・・・)
詩音「忘れ物をしちゃいまして。急に必要になったので取りに来たってわけです。・・・梨花ちゃまは?」
梨花「ボクも詩ぃと一緒なのですよ」
詩音「い、一緒って・・・それは忘れ物を取りに来た、と・・?」
梨花「はいなのです。沙都子の変わりに来た、と言えばわかってくれますですか?」
詩音「・・・沙都子の変わり?あの子はどうしたんです?」
梨花「沙都子はお家で休んでますです」
詩音「・・・はぁ?それ、本当ですか?」
梨花「はい、本当なのですよ。沙都子は病気ですから」
詩音「・・・どこまで知ってるんです?」
梨花「詩ぃも沙都子も、悪い子なのです」
詩音「はぁ?悪いのは沙都子でしょう?」
梨花「ならば、その悪い所を叱ってあげましたか?」
詩音「そ、それは・・・」
梨花「・・・もう遅いのです。いくら沙都子が謝っても圭一は帰って来ない。この世界はもう・・・」
詩音「・・梨花ちゃま?」
梨花「これ以上手遅れにならないためにも・・・詩ぃ、ボクに協力してほしいのです!」

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