解 1章その3

「魅音、沙都子の事・・・・・頼んだからね」

そうだ……そうだよ………私は頼まれたんだ!
悟史くんに頼まれた…! 沙都子をお願いって、頼まれたんだ!
だから………雛見沢の学校に転校したいって鬼婆に頭を下げたというのに………。
なのに…私は……ううっ…ごめんなさい………。
悟史くん……ごめんね…ごめんね……悟史くん………。
沙都子は私が守るから……だから…私を許して……。
私は信じてるからね…きっと悟史くんは帰って来るって……!
だから……それまであの子は私が守るよ………悟史くん…!!


詩音「はろろーん、レナさんに沙都子」
レナ「あ、詩ぃちゃんだ!」

相手はレナさん…………やり辛い相手になるなぁ……。
レナ「うん、じゃあレナは先生の所に行ってくるね」
沙都子「れ、レナさん! まっ・・・むぐっ」
まったく……今更何を言おうとしてるんだか。
懺悔でもする気? まさか…いいや、違う。話すつもりなら、
いくらでもタイミングはあった筈。それをこの子は
何度も見過ごしてきた。結局、後ろめたい気持ちが良心を
傷めているだけにすぎない。そうなんでしょ?
詩音「沙都子、早くこの死体を隠しますよ」
沙都子「詩音さん?!」
何を驚いてるんだか。あんたが殺したんですよ?
話さなかったって事は、最初から隠すつもりだったんでしょ?
白々しいやつめッ…!! これ以上苛々させるな…!!
人殺しのくせに!! この人殺し!! 人殺し!!!!
人殺し!!!!!!!!!!!

詩音「沙都子、あなたに罪の意識はあります?」
沙都子「・・・ごめんなさい」
詩音「謝っても、圭ちゃんはもう帰ってきませんよ」
沙都子「ううっ・・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・・!!」

こいつ……謝って済むとでも思ってんの!?
圭ちゃんを殺したくせに…!! この野郎ッ……!!
沙都子「・・・・・詩音さん・・・?」
だ、ダメッ……落ち着け………落ち着きなさい…!!
私が慌ててどうするの?! 沙都子を守らなければならない私が! ここで熱く
なってしまっては……落ち着け…せめて今だけでも……!
……………………………………………………よし……。
ごめんね圭ちゃん……約束したの…悟史くんと
約束したから……だから………わかってくれるよね…?
詩音「はぁ・・・・ほら、早くやりますよ。そっちを持ってください」

知恵「あらっ? 前原くんは・・・」

ここで墓穴を掘れば沙都子は……落ち着け………。
…平常心を保つんだ……いつもの私でいればいい…。
詩音「圭ちゃんなら、ついさっき帰りましたよ」
大丈夫。知っているのは私達だけ。だから絶対に大丈夫……。
レナ「あれぇ? 圭一くん先に帰っちゃったんだ・・・」
沙都子「れ、レナさんには悪いけれど、先に・・・・・・」
な、何を余計な事を……!? ここで怪しまれて
不信感を与えてしまったら、全てが終わるというのに…!!
沙都子(あわわっ! ごめんなさい!)
……本当にわかってるんだか。
詩音「圭ちゃんがいないのなら、今日の部活は無しですね」
これでいい。これで大丈夫。何もおかしい事は無い…。
……………………………………………………圭ちゃん……………。
……ごめんね圭ちゃん。沙都子を……あの子を許してあげて…。

沙都子「・・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・」

いくら謝ったって……圭ちゃんはもういない………。
そりゃあ私だって……正直に言えば、圭ちゃんがいないと寂しい。
それに悲しいし……少しだけ…でも……それでも………。
詩音「沙都子、私は一度家に帰ります。日が落ちたらここに来てください」
そして、全てを終わらせる。全て終われば……また明日から
楽しい毎日が…………………送れる筈無いのに………。
だって……圭ちゃんはもういないんだよ…?
悟史くん……………悟史くん………悟史くん……。
沙都子「・・・わかりましたわ」
本当にわかってるんだか。………まぁいいや。
今はあの死体をどうやって処理するか考えないと。
沙都子「・・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・」
この子がこんな調子では、私がしっかりする他にない。
しかし………お姉ならともかく、私にどんな力があるというのか。
園崎の力を使えば死体を一つ隠すくらい造作もない。
でも、私は詩音。園崎魅音じゃない。私にはなんの力も有りはしない……。
沙都子「・・・ぅぅ・・・圭一さん・・・・・・」
………けっ、さっきからこの子は何を考えてんだか。今更? 笑っちゃうね!
今は泣いてる場合じゃないでしょうに。ま、そのおかげで
私は冷静でいられるんだけど。とりあえず………。
詩音「私は一度家に帰ります。日が落ちたら、ここへ来てください」
死体が直ぐに見つかる心配はないだろう。それに、
ずっとここに居座っていては、誰かに怪しまれてしまいそうだしね。

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