解 1章その4
詩音「ふぅ・・・・・・・」
とりあえず、これで一安心かな……? あはは、安心してる場合じゃないか。
とにかく今は、あの死体をどう処理するか考えないと……。
私と沙都子だけで出来るだろうか……。誰かの力を借りる?
お姉は………駄目か。真っ先にお姉の顔が思い浮かんだけど、
圭ちゃんを殺された怒りに逆上されちゃ困るから除外っと。
まぁ、お姉がそんな短絡的な行動を取るかは怪しいけど……。
うーん…………………………。
あとは………葛西くらいかなぁ。葛西なら、きっと力になってくれそうな気がする。
気はするけど………うーん。もう少し考えてみないとわか、
魅音「詩音ー」
ッッ!?!? ち、ちょっと…びっくりさせないでよ……。
………………………………………平常心、平常心っと。
詩音「あらお姉、どうしました?」
魅音「圭ちゃん見なかった?」
………………………………むっ。別にお姉が聞いてきても
おかしくはない問いだ。変に怪しむ必要はない、か。
大体、私が圭ちゃんを捜してくると言ったんじゃないか。
それにここで変に勘繰って、逆に不審がられてしまってはまずい。
詩音「・・・さぁ? 私は見ていませんよ」
これが無難かな。私は何も見てないし、何も知りません。おわかり?
詩音「圭ちゃんに用でもあるんですか?」
魅音「あははっ、別に大した用じゃないよ」
………この様子なら、お姉は何も感づいてはいない筈。
お姉の用……それなら、きっとあの罰ゲームに関する事だろうし。
何もおかしい事はない。何も………。
レナ「魅ぃちゃ〜ん」
魅音「レナ! 圭ちゃん見なかった?」
ほら、やっぱり。レナさんだって圭ちゃん達を捜しに行ってたんだ。
お姉がレナさんに私と同じ問いをしたって、何もおかしい事はない。
何も………………………ん…………なんだろ……………。
レナ「圭一くんね、先に帰っちゃったみたい・・・・」
……………………………………あっ………………ああぁ!!
レナ「さっきまでね、沙都子ちゃんのトラップに引っ掛かって気を失ってたみたいなんだけど・・・・」
…………まずい…………まずい………………迂闊だった………!!
レナには目撃されている。圭一が倒れていたあの場に私がいたと。
私とした事が………魅音にばかり気を取られていた……。
畜生……!! 私がこんな凡ミスを犯すなんて……!!!
レナ「これからお見舞いに行こうと思ってるんだけど、どうかな?」
だ、駄目だ! 行くな! 行くな!!
魅音「そうだね、私も行くよ」
……………………………なんて事だ…………そんな…………。
沙都子をあれだけ小馬鹿にしていた私が………本物馬鹿じゃない…!?
この大馬鹿野郎! 気を抜いたのはお前じゃないか!!
…………………まぁ……………悔やんだってもう遅いか……。
レナ「詩ぃちゃんはどうする?」
あはははは。そんなの、もう決まってるって。
沙都子を見捨てて自分だけ逃げようなんて考えは端から頭にない。
そう、今は考えるしかない。あの死体をどう処理するか。どう誤魔化すのかを…。
詩音「私は遠慮しておきますね」
………………もう…………後には引けないんだから………。
梨花「・・・・・みぃ」
遅い。一体、何分待っただろうか。既に教室には私以外の人間は誰もいない。
まったく……あと何分、何時間待たせる気なの?
梨花「留守番なんて・・・・つまらない役を選ぶんじゃなかったわ」
一人悪態を吐いても仕方ない。そんなのはわかってる。
ただ……私は嫌いなの。退屈なのが。たまらなく嫌。
ここで説明するのも面倒だし………これを読んでいる、あなた。
あなた達なら、わかるでしょう? ふふっ………。
まぁいいわ。知らないあなたでもいい。私はね、嫌いなの。
退屈でつまらない日常を送る事が。それだけ覚えてもらえれば幸いよ。
羽入「り、梨花ー!!」
……騒がしいのが来たわね。
梨花「どうしたの? そんなに慌てて」
信じられない…………じ、冗談でしょ……そんなの……。
羽入「梨花・・・・僕も信じたくはないのですよ・・・でも・・・・・・・・・」
……やめて!! その先を言わないで!!
私は信じない………信じたくもない……………ッ!!
羽入「僕だって・・・・僕だって・・・」
……………落ち着きなさい……。
そして………受け止めなさい。…………………この事実を…。
羽入「そうなのです・・・・これは起きてしまった事実なのです・・・・だから・・・・・」
……そうね。あなたが私にこんな下らない嘘を吐いたって何の得もないしね。
梨花「・・・・ごめんなさい。もう・・・落ち着いたわ」
こんなに直ぐ落ち着けるなら苦労しないわね。
せめて表面上だけでも落ち着いたフリをしないと………。
羽入「あうあうあぅ・・・!」
………ま、こうなるわね。
信じられない…………じ、冗談でしょ……そんなの……。
羽入「梨花・・・・僕も信じたくはないのですよ・・・でも・・・・・・・・・」
……やめて!! その先を言わないで!!
私は信じない………信じたくもない……………ッ!!
羽入「僕だって・・・・僕だって・・・」
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